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東京地方裁判所 昭和46年(特わ)486号 判決

本店所在地

東京都台東区日本堤二丁目一一番六号

株式会社 大王製作所

右代表者代表取締役

田代栄

本籍

東京都荒川区荒川四丁目二七番地

住居

埼玉県越谷市柳町二丁目三〇番地

会社役員

田代栄

昭和一〇年一月四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官秋田清夫出席のうえ、審理を遂げ、つぎのとおり判決する。

主文

被告会社を罰金六〇〇万円に、

被告人田代栄を懲役六月に、

それぞれ処する。

ただし、被告人田代栄に対し、本裁判確定の日から

二年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社大王製作所は、東京都台東区日本堤二丁目一一番六号(昭和四二年六月一〇日以前は同都荒川区荒川四丁目二七番地)に本店を置き、金属雑貨、鎖類の加工並びに販売を目的とする資本金三八、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人田代栄は、右被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人田代は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入、架空外註加工賃を計上して簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一、 昭和四二年三月一日から同四三年二月二九日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一六、九五六、六七二円あつたのにかかわらず、同四三年四月三〇日東京都台東区駒形一丁目八番一〇号所在所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、四五八、〇一五円で、これに対する法人税額が一、四六三、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額五、四五七、八〇〇円と右申告税額との差額三、九九四、一〇〇円を免れ、

第二、 昭和四三年三月一日から同四四年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三三、三八一、七六六円あつたのにかかわらず、同四四年四月三〇日東京都台東区蔵前二丁目八番一二号所在所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八、〇九四、九五三円で、これに対する法人税額が二、三〇二、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一一、一三〇、〇〇〇円と右申告税額との差額八、八二七、七〇〇円を免れ、

第三、 昭和四四年三月一日から同四五年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五二、五九三、四五〇円あつたのにかかわらず、同四五年四月二八日前記所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一一、五六六、三九二円で、これに対する法人税額が三、四三七、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一七、七八〇、六〇〇円と右申告税額との差額一四、三四三、一〇〇円を免れ

たものである。

(なお、修正損益計算書は別紙第一、第二、第三のとおりであり、税額計算書は別紙第四のとおりである。)

(証拠の標目)

一、 被告人の当公判廷における供述

一、 被告人の検察官に対する供述調書三通及び大蔵事務官に対する質問てん末書三通

一、 渡辺良雄、渡辺美子、福田光子、上林豊夫、田代守、広野真智子、斉藤利昭の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通

一、 増田国満の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、 増田国満、高橋陽子、斉藤利昭の検察官に対する供述調書各一通

一、 田代守の検察官に対する供述調書二通

一、 増田国満提出の上申書一通

一、 大蔵事務官作成の調査書九通

一、 検察事務官作成の捜査報告書二通

一、 吉沢利治作成の証明書一通

一、 押収してある次の証拠物(かつこ内は、いずれも昭和四六年押第九〇六号のうちの符号を示す。)

総勘定元帳(6、7、8)各一綴、法人税決議書綴(10)一綴

(法令の適用)

判示各事実は、被告会社につき法人税法第一六四条第一項第一五九条第一項、第二項に、被告人田代につき同法第一五九条第一項にそれぞれ該当するところ、被告人田代に対し所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法第四八条第二項により各罰金の合算額の範囲内で、被告人田代については同法第四七条本文第一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で、被告会社を罰金六〇〇万円に、被告人田代を懲役六月にそれぞれ処するが、被告人田代に対しては諸般の情状を斟酌し刑法第二五条第一項により本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。

(裁判官 守谷芳)

別紙第一 修正損益計算書

株式会社 大王製作所

自 昭和42年3月1日

至 昭和43年2月29日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第二 修正損益計算書

株式会社 大王製作所

自 昭和43年3月1日

至 昭和44年2月28日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙第三 修正損益計算書

株式会社 大王製作所

自 昭和44年3月1日

至 昭和45年2月28日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙第四 税額計算書

株式会社 大王製作所

〈省略〉

〈省略〉

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